バリアフリーとは、年齢や身体能力に関係なく、誰もが快適に過ごせる環境を整えることです。段差が多い日本家屋は、高齢者や車椅子利用者にとって不便な面が多く、バリアフリー化を検討している方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、特に需要の高い玄関のバリアフリー化について、ポイントやお得な助成金制度について、詳しく解説します。
1.玄関のバリアフリー化の種類
ひと口にバリアフリー化と言いましても、その方法は様々です。下記に、玄関をバリアフリー化する方法について幾つかご紹介していきたいと思います。
1-1.段差を解消する
お年寄りや、車椅子を利用されている方が最も苦労するのは、やはり段差ではないでしょうか。
段差の解消はバリアフリー化の基本です。スロープ(坂道)を設置するのが一般的ですが、場合によっては、電動リフトを設置することもあります。
玄関の段差解消でよく問題になるのが「上り框(あがりかまち)」の存在です。
上り框は、屋外の汚れが室内に入るのを防ぐ目的で設けられている高低差であるため、いくらバリアフリー化のためとは言え、安易に取り除けません。
国土交通省によるバリアフリー化の基準では、戸建てなら18cm以下、集合住宅なら11cm以下が望ましいとされています。これらを参考に、必要に応じて踏み石などを噛ませるとよいでしょう。
1-2.手すりを設置する
手すりは、歩行時の足腰への負担を減らすだけでなく、階段等での転倒事故の抑制にも役立つ、非常に重要な部材です。
左右どちらの壁にするかや、どの程度の高さにするかなど、利用される方の身長や生活の所作を考慮し、最適な場所に取り付けることが重用です。また、利便性だけでなく、無計画に取り付けて、生活を阻害するようなことが無いように、しっかりと計画するようにしましょう。
1-3.開き戸から引き戸に変更する
扉を引き戸タイプにすることも大変有効です。特に、手前に引くタイプの扉の場合、扉を避ける所作が必要になりますが、横に移動させる引き戸ではその必要がありません。
また、足元にレールを必要としない、吊り下げ式の引き戸であれば、床をフラットにすることができるため、車椅子の障害になりません。
1-4.腰掛ける場所を作る
玄関にベンチや、腰を掛けることが出来る場所を作っておくと、靴の着脱をサポートする際に便利です。また、折りたたんで収納ができるタイプのベンチであれば、スペースも取りません。
1-5.足元の照明を追加する
夜間の玄関の周辺では、暗さによる視界不良で、内外共に転倒事故などが起こりがちです。屋外は人感センサーのライトを設置することをお勧めします。また、玄関内にもフットライトを設置すると、より効果的に転倒事故を防ぐことができます。
2.玄関をバリアフリー化する際の注意点
玄関のバリアフリー化を検討する中で、意外に見落としやすい点もあります。
2-1.玄関ドアまでのアプローチのバリアフリー化も大切
玄関のバリアフリー化と聞くと、玄関の扉や内部の段差にばかり意識が向きがちですが、敷地の入口から玄関までの間、所謂「玄関アプローチ」と呼ばれる部分も、しっかりと対策をしましょう。
玄関アプローチに段差がある場合、基本的にはスロープ(坂道)で対応することが一般的ですが、都市部など玄関アプローチが短い住宅の場合は、段差解消リフトなどの設置を、検討する必要があります。
2-2.材質にも注意する
スロープや床などの材質にも注意するようにしましょう。車椅子やベビーカーなどが利用するスロープでは、滑りにくく、がたつきが少ないタイルを使用する必要があります。それ以外にも、設置場所に応じて、雨によるスリップ、水はね防止などを考慮した材質選びが大切です。
3.バリアフリー工事で受けられる助成金や減税措置も
助成金や税制優遇制度を利用すれば、お得にリフォームできる場合もあるので、必ずチェックしましょう。
3-1.介護保険からの居宅介護住宅改修費
介護保険加入者で、要介護、または要支援認定を受けている方であれば、自宅をバリアフリー化する際、国から助成金を受けとることが可能です。最大20万円までの工事に対して、費用の9割を助成してもらえる制度で、以下は、その対象となる工事の例です。
・手すり取り付け
・段差解消
・路面材質変更(滑り防止、凹凸改善)
・引き戸への取り換え・・・etc
必ず、着工前の申請が必須となりますので、忘れずに手続きを行ってください。
3-2.所得税の減税制度
バリアフリー改修工事に要した金額の、10%を所得控除できる制度です(上限200万円)。
また、限度額を超える場合や、その他のリフォームについても、最大1000万円を上限に5%の控除を受けることができます。
控除を受けるには、条件が幾つかあるため、必ず事前に確認するようにしましょう。
3-3.固定資産税の減額制度
新築から10年以上経過した住宅で、自己負担額50万円を超えるバリアフリー工事を行った場合、翌年度の固定資産税のうち、1/3が税額控除される制度です。こちらも、適用を受けるための条件がありますので、確認するようにしましょう。
3-4.地方自治体の補助金も確認する
介護保険助成制度の支給額に準ずる場合や、独自基準での運用など、内容も条件も自治体によって違うため、お住まいの地方自治体に確認するようにしましょう。
4.まとめ
今回は、玄関のバリアフリー化のポイントとお得な助成金について紹介しました。安全なように見える自宅でも、お年寄りや障害のある方にとっては、転倒や転落のリスクが隠れています。若く体力のあるうちは気にならない段差も、年齢を重ねるにつれて辛くなってくる可能性もあります。両親や祖父母のためだけではなく、自分の将来も見据えて、バリアフリー化を検討してみてください。
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